駐犬ポール~ゲーム別館

現在進行形で刀剣乱舞にハマリ中

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「うそつき」

SS第3弾。
アーリン殿下とメルヴィル君の出会い捏造の話です。


彼に初めて会った日のことは、物凄くはっきり覚えてる。
初めてお城から出て、王国中を自由に歩いた日。
草すべりをする子供達を見て、とても楽しそうだからやってみたくなった。
でも、どうやったらいいのかとか、順番はあるのかとかわからなくて、輪の中に入れず公園の入り口でしばらく中を眺めていた。
「君、はじめまして?」
赤毛の男の子が、いつの間にかあたしの前に来て、顔を覗き込んでいた。
身長はほとんど変わらない。
「えっと、あたし、はじめまして」
いきなりの質問に、答えられたのはそれだけだった。
何が嬉しいのか、その子は凄く嬉しそうに笑って、更に話しかけてきた。
「はじめまして。僕の名前はメルヴィル。あっちは兄さんのアーヴィン。お城に住んでるんだ。君の名前は?どこに住んでるの?」
畳み掛けるように質問されて、あたしは正直いらついた。
だって、おしゃべりしに来たんじゃないもの。あたしは他の子みたいに楽しそうにあそこの草で滑ってみたいの。
それに、お城に住んでるなんて、誰に向かって言ってるの?この子。
「あたしの名前はアーリン。メルヴィルはうそつきね。お城に住んでるのはあたしなのに!」
思わず口を尖らせてしまった。もう赤ちゃんじゃないんだから、こんな顔したくないと思ってたのに。
「うそつきじゃないよ!僕と兄さんとお母さんとお父さんとで、お城に住んでるんだよ!」
「うそ!お城に住んでるのはあたしとお父様とお母様と、おじいちゃまと、あと弟のモーラだもん!!」
「うそじゃないってば!君の方がうそつきだ!」
彼は大きな声を出して、あたしの手をつかんだ。なにするのよ!と一度は振り払ったのに、しつこく手を捕まえられて、彼が走るのにつられてついていくことになってしまった。
「うそじゃない証拠、見せてあげる。こっちだよ、おいで!」
ああ、あたしは草すべりがしたかっただけなのに、なんでこんな面倒なことになってるの?
でも、また声を大きくして文句を言うのは子供っぽい気がして、あたしは黙って彼に手を引かれるままに、港から小船に乗って、そのお城までやってきた。

・・・うそじゃなかった。
お城の中は、なんだかよくわからないけど、とても「りっぱ」だった。
あたしが住んでるお城より、なんだか綺麗で、広くて。大人が言う「歴史の重み」てこういうのを言うんじゃないのかしら。
そのお城にはお姫様がいた。
「あら、メルヴィル、もうお友達できたの?」
柔らかそうな栗色の髪をたらしたお姫様は、優しそうに笑って、あたしの前にしゃがんで頭に手を置いた。
「・・・はじめまして。アーリンです。ご機嫌いかがですか?」
ご挨拶はちゃんとなさい。お母様に言われたとおりに今度は挨拶できた。
「あら?」
お姫様は首をかしげて、じっとあたしの目を見つめた。
「はじめまして。私はアリア・ランスです。アーリンちゃんは、もしかしてお城のアーリン殿下?お母様はアレフディナ陛下ね」
「そう!そうなの!お城のアーリンなの!なのにメルヴィルがうそつきって言ったの!!」
えー、と抗議の声を上げる彼に、アリアさんは厳しい顔で言った。
「メルヴィル、うそつきなんて簡単に人に言っては駄目よ。うそつきと言われたほうはとても悲しいでしょう。何が本当のことなのか、ちゃんと自分で確かめてからにしないとね」
その言葉は、あたしのこころにもぐさりと刺さった。お城に住んでるメルヴィルをうそつきと先に言ったのは、本当はあたしなのだから。
「ここは本当にお城なの?」
最後の悪あがきのように、アリアさんに尋ねてみた。アリアさんはちょっと考えて、そうともいえるしそうともいえない、と不思議なことを言った。
ここは昔お城だったところ。だからお城といえばお城なんだけど、今は王様が住んでるわけじゃないから、お城とは言えないかもしれないって。
「でも、シーラルでお城と言ったらここのことね」
「えっと、昔はお城で、今は王様がいないからお城じゃないってことは、お城だったころは王様がいたの?アリアさんは女王様だったの?」
お城じゃなくなったのがずっと昔のことだなんて分からなくて、あたしはそんなことを聞いた。
「違いますよ。でも、アーリン殿下のおばあ様のサラ様は、私のいとこなの。私も小さいころクラウンハイムに住んでいたんですよ」
「えっ、じゃあ、王族なの?」
「一応そうね」
メルヴィルはうそつきじゃなかった。シーラルのお城に住んでた。
あたしはお城が二つあることも知らなかった。親戚がお城に住んでることも知らなかった。
「・・・うそつきって言ってごめんなさい」
悔しかったけど、あたしは謝ることにした。間違えてたことに気づいたら、正しいことをしなさいとお母様にいわれていたから。
メルヴィルに謝るのは、それでも怖かった。あたしの手を引っ張って走ってきた彼が、怖かったから。

だけど、メルヴィルはさっきのことがうそみたいに、にっこり笑ってた。
「僕こそ、うそつきって言ってごめんなさい。お城は二つあって、どっちも本当だったんだね。僕、昨日初めて外に出たばかりで、何も知らなかったんだ」
「そうそう、メルヴィルとアーリン殿下はお誕生日が一日違いなのよね。メルヴィルが一日だけお兄さんね。親切にしてあげなきゃだめよ」
「うん。僕、これからはちゃんと親切にするよ。・・・えーと、アーリン殿下」
気がつくと、あたしは泣いていた。
同じくらいの子に殿下ってよそよそしく言われたのも気持ち悪くて腹が立ったし、たった一日違いでお兄さんぶられたのも気に食わなかった。
なんだか頭と心がぐちゃぐちゃになった。
だって、一日違いでも、メルヴィルは本当にお兄さんぶれるんだもん。
あたしが初めてお城の外に出られた、新年のこの日。
一日早く去年の大晦日に誕生日を迎えたメルヴィルは、あたしより一年早く学校に通い始めたんだから。
「殿下、どうしたの?」
優しそうな顔で、おろおろと顔を覗き込んでくるメルヴィルが腹立たしい。
「お兄さんぶらないで!メルヴィルなんて嫌い!」
とうとうかんしゃくを起こして、あたしはお城から逃げ出した。

次の日、お母様に首根っこをひっ捕まえられて、謝りにまたシーラルのお城に出向かせられたのは言うまでもない。
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まとめ【「うそつき」】

SS第3弾。アーリン殿下とメルヴィル君の出会い捏造の話です。

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Author:相原やよい
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